2010年03月06日
中屋の響き チルデン著「ベターテニス」
「ベター・テニス」という本を1年前にメールマガジンで探していると告知したところ、親切な方が送ってくれました。
この本の著者は、1920年から6年間、デビスカップで負けなし、10年間全米ランキング1位であり続けたスーパースター、ビル・チルデンです。今でも最強ではないかと言われている選手です。
「ベター・テニス」は彼の半世紀に渡る彼のテニス人生の集大成で、本の中にはテニスに本気で向き合い続け、その結果感じ得たチルデンの貴重な金言が溢れている名著です。このブログでも、「鈴の音」でいくつか紹介したことがあります。
一部を紹介します。
「テニスを行っている大多数の者が、短期間に技術を覚えなければ努力のしがいがないと感じているように思える。私はテニスを習得するのに、決して近道はないと断言できる。テニスのごく基本的な技術を、ゆっくりと確実に練習続けるプレーヤーはしまいには良い結果を得ると思う。―中略― 初めの数週間に正しいストロークの土台を築くならば、最後には数年間の努力を節約することになろう。」
テニスの選手としてビッグプレーヤーだっただけでなく、文才にも長けていて、彼の言葉の一つ一つが色あせず心に響いてくるので読み応えがあり、繰り返し読んでしまいます。テニスの上達には、近道はありませんが遠回りをしないための心構えはあると思います。
「賢明なプレーヤーは、過去のすぐれたプレーヤーのスタイルや方法を出来るだけ身につけ、それと同時に現代のプレーヤーが演じるどんな些細なことも学ぶべきである。―中略― 最近の少年プレーヤーは何も知らないし、そのことについて考えることは馬鹿げていると思っている。もしもこのような考え方が、文化とか教育とか芸術の世界で流行するとしたら、いったいどんなことになるだろう。運動の分野で価値ある財産をかえりみないのはなぜだろう」
熊谷一弥や原田武一のことを知らないテニスコーチに出会うとがっかりします。技術の変遷を知ることなく、目の前にある技術をつまみ食いするがごとく知識を得ることが本質を理解したといえるのか疑問です。
フェデラーは還暦を超えるトニーローチにコーチを頼みました。フェデラーは変わらず脈々と流れるテニスの源泉に触れたかったのかも知れません。トニーの持っている道義的、技術的背景は過去に何人ものチャンピオンを育てています。
この他、技術解説、戦略解説でも興味深い記述がたくさんあります。ネットプレーでの記述です。
「常に身体はストレートショットを防ぐ位置に構え、心は中央のクロスコートに構え、そして非常な鋭角の3分の1に対しては気に掛ける必要はない」
この「ベター・テニス」を翻訳したのが福田雅之助です。彼は日本にイースタングリップを紹介し、硬式テニスはイースタングリップでプレーすべきという考えを全国的に広めた方です。魅力ある文体から想像するにさぞかし弁舌も秀でた方だったのではないでしょうか。イースタングリップが一気に日本中に普及したことも頷けます。
現在、絶版でなかなか手に入れることは出来ない本かも知れませんが、ご一読を勧めます。
*大阪のMさん、申し訳ありません。もう少しの間お借りします
勝者のフットワーク塾 中屋
この本の著者は、1920年から6年間、デビスカップで負けなし、10年間全米ランキング1位であり続けたスーパースター、ビル・チルデンです。今でも最強ではないかと言われている選手です。
「ベター・テニス」は彼の半世紀に渡る彼のテニス人生の集大成で、本の中にはテニスに本気で向き合い続け、その結果感じ得たチルデンの貴重な金言が溢れている名著です。このブログでも、「鈴の音」でいくつか紹介したことがあります。
一部を紹介します。
「テニスを行っている大多数の者が、短期間に技術を覚えなければ努力のしがいがないと感じているように思える。私はテニスを習得するのに、決して近道はないと断言できる。テニスのごく基本的な技術を、ゆっくりと確実に練習続けるプレーヤーはしまいには良い結果を得ると思う。―中略― 初めの数週間に正しいストロークの土台を築くならば、最後には数年間の努力を節約することになろう。」
テニスの選手としてビッグプレーヤーだっただけでなく、文才にも長けていて、彼の言葉の一つ一つが色あせず心に響いてくるので読み応えがあり、繰り返し読んでしまいます。テニスの上達には、近道はありませんが遠回りをしないための心構えはあると思います。
「賢明なプレーヤーは、過去のすぐれたプレーヤーのスタイルや方法を出来るだけ身につけ、それと同時に現代のプレーヤーが演じるどんな些細なことも学ぶべきである。―中略― 最近の少年プレーヤーは何も知らないし、そのことについて考えることは馬鹿げていると思っている。もしもこのような考え方が、文化とか教育とか芸術の世界で流行するとしたら、いったいどんなことになるだろう。運動の分野で価値ある財産をかえりみないのはなぜだろう」
熊谷一弥や原田武一のことを知らないテニスコーチに出会うとがっかりします。技術の変遷を知ることなく、目の前にある技術をつまみ食いするがごとく知識を得ることが本質を理解したといえるのか疑問です。
フェデラーは還暦を超えるトニーローチにコーチを頼みました。フェデラーは変わらず脈々と流れるテニスの源泉に触れたかったのかも知れません。トニーの持っている道義的、技術的背景は過去に何人ものチャンピオンを育てています。
この他、技術解説、戦略解説でも興味深い記述がたくさんあります。ネットプレーでの記述です。
「常に身体はストレートショットを防ぐ位置に構え、心は中央のクロスコートに構え、そして非常な鋭角の3分の1に対しては気に掛ける必要はない」
この「ベター・テニス」を翻訳したのが福田雅之助です。彼は日本にイースタングリップを紹介し、硬式テニスはイースタングリップでプレーすべきという考えを全国的に広めた方です。魅力ある文体から想像するにさぞかし弁舌も秀でた方だったのではないでしょうか。イースタングリップが一気に日本中に普及したことも頷けます。
現在、絶版でなかなか手に入れることは出来ない本かも知れませんが、ご一読を勧めます。
*大阪のMさん、申し訳ありません。もう少しの間お借りします
勝者のフットワーク塾 中屋